第12回:第1章 個の話 第1話(6)
理屈は何でも良い、何かしたい。
知の共有をしようと6人が集まりました。
知を共有する6人の縁を広げ、6人の経験知を徹底的に共有し、6つの視点から「生きる」力を説き起こします。
どなたもお気軽に。コメントをお待ちしています。
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第12回:第1章 個の話 第1話(6)
~人間は、60兆の細胞からなる芸術作品!~
憧れの人に想いを伝えた青年の「刹那」の想いは、果たして成就したのでしょうか。
前回ご紹介しました小さな数の単位をおさらいしてみましょう。
10のマイナス7乗からはじまる、繊(せん)・沙(しゃ)・塵(じん)・埃(あい)・渺(びょう)・漠(ばく)・模糊(もこ)。
このあたりまでは、「視覚」の世界でした。
「視界」から「時間」へ。10のマイナス14乗からはじまる、逡巡(しゅんじゅん)・須臾(しゅゆ)・瞬息(しゅんそく)・弾指(だんし)・刹那(せつな)と続きます。
「視覚」から「時間」に至る、小さな時間の単位の世界。
「時間」の概念の次は「人の道」が用意されていました。
憧れの人から青年はどのように見えたのでしょうか。
「人の守るべき6種の徳目」を意味する
- 10のマイナス19乗:「六徳(りっとく)」
- お布施を与える
- 持戒、戒律を守る
- 忍辱、耐え忍ぶ
- 精進、努力修行
- 禅定、精神集注
- 智慧・般若
青年の恋の物語は、いよいよ結末を迎えます。
「逡巡」しながらも、せつなる想いを胸に秘めて。
憧れの人に告白した青年の「刹那」の想いは、果たして成就するのでしょうか?
「指をひとはじきする(弾指)間に65刹那(せつな)」。
10のマイナス18乗の時を経て・・・。
「わたし、いま輝いている人が好き」
青年は、憧れの人の最後の言葉を心に刻み、「思い立った今日この瞬間から6種の徳目を実践し、自分にできることを探して、自分の道を自分の手で切り拓いていこう!」と固く心に誓うのでした。
視覚から時間、そして人の道へと続く、小さな時間の単位。
このあたりからは、心の深層部分を投影する言葉が登場します。
「空、平面、空間などに何もない状態」を指す
- 10のマイナス20乗:「虚空(こくう)」
「清らかでけがれのない」などの意味を持つ
- 10のマイナス21乗:「清浄(せいじょう)」
大乗仏教を支える根本思想である
- 10のマイナス22乗:「阿頼耶(あらや)」
「迷いの世界と悟りの世界」はここから生じる
- 10のマイナス23乗:「阿摩羅(あまら)」
「諸行無常・諸法無我の事実を自覚すること」を意味する
- 10のマイナス24乗:「涅槃寂静(ねはんじゃくじょう)」(10のマイナス26乗の場合など諸説あるようです)
縦糸と横糸が織り成す「繊」からはじまる、小さな単位の物語。
見た目重視で「どうありたいのか」焦点がいまひとつ定まらない「埃・漠・模・糊」の状態から、「逡巡」そして「刹那」の時を経て・・・。
「愛に燃えるその瞬間が“永遠”なんだよ」(芸術家・岡本太郎)。
憧れの人の最後の言葉「わたし、いま輝いている人が好き」を心に刻み、人の道「六つの徳目」を実践。「虚空と清浄」、大乗の教え「阿頼耶」と「阿摩羅」の迷いと悟りを行きつ戻りつしながら、諸行無常・諸法無我の境地「涅槃寂静」に至るのでした。
さて、数字の不可思議から離れて、60兆の細胞について考えてみましょう。
人間に備わった能力には、未知の何かが潜んでいるかも知れないと思うと???
DNAに刻み込まれた永久の記憶には、何か夢がありますね?