知の力日記帳

6人の知の力を集めて「生きる」力を説き起こします。

第32回:第1章 個の話 第4話(5)

理屈は何でも良い、何かしたい。
知の共有をしようと6人が集まりました。

知を共有する6人の縁を広げ、6人の経験知を徹底的に共有し、6つの視点から「生きる」力を説き起こします。

どなたもお気軽に。コメントをお待ちしています。

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「生きる」力! ~不可思議な6? 空(くう)の中身~
第32回:第1章 個の話 第4話(5)
生命システムとは何か?
~ 人間の不可思議な能力「オートポイエシス」・・努力と天賦の才? ~


事例4:新種のメディア「EGM(Employee Generated Media)」

「オートポイエシス」の概念が、柔軟な経営の形態として実際に適用されている4つ目の事例を挙げてみましょう。

【企業の中のビジネスパーソンが自発的な情報発信を行うことにより創り出す、新種のメディア「EGM(Employee Generated Media)」】

EGMの発生は、NECグループ社員間の社内のコミュニケーションを活性化する趣旨で社員が独自に創設し、その個人的なネットワークから社内で広く展開したものです。さらに同じ志をもった他社でのEGMの推進者たちとの間でも交流会や勉強会のフォーラム等として活動して普及している日本独自のメディアです。

EGMの重要なポイントの一つは、「自発的」ということです。従来型の会社の業務命令で発信された情報や、組織の見解として発信される情報ではなく、また、上司によって査閲・校正された情報でもなく、社員が自発的に自らの言葉で情報を発信し、コミュニケーションを行うのがEGMです。

EGMは、ユーザーメンバーの様々な目的要求に応じて会員の紹介制度により自由に利用されているソーシャルメディアです。例えば、自らの業務を円滑に進める、周囲のビジネスパーソンとのコミュニケーションやコラボレーションを活性化する、ビジネスと生活の質を向上させる、など利用目的は多様です。

そのため、EGMの形態としては、同じ企業の社員同士が企業内でコミュニケーションをする社内SNSのようなEGMもあれば、企業の中の社員が社外に向けて情報発信を行い、社外の知人達とコミュニケーションを行うEGMもあり、また、複数の企業間にまたがったコミュニティの中でコミュニケーションを行うEGMもあります。

EGMを最初に創設したNECの実践事例を紹介してみます。同社では、事業環境の変化やソフトウエアの開発現場のグローバルな分散化等に伴い、従来型のSWQC(品質管理活動を支援するソフトウェア)業務を補完する現場の自発的な要請から、部門単位の壁を越えて共通の思いや絆で結ばれた個人単位のEGMコミュニティを社員自らで作ったのです。

この社内SNSの場を活用することで、グループ組織の枠を超えて仕事の悩みだけでなく、社内のルールや規定、プログラムの組み方、学習会の知らせなど様々な情報を共有し、ファシリテータの自発的な協力を得て、コメントの交換などによる気付きや知の創造に活用しています。

さらに、このEGMの場は、「オフ会」という飲み会やランチ会などをファシリテータが自発的なアレンジで適宜開き、人のネットワークをリアルに結び付けるなど、知恵を備えた媒体の役割を果たすように進化しています。このような自由度の高い自発的な人のネットワーク化による協働の場は、自己組織的にイノベーションや改善を生み出す知の協創のプラットフォームとして注目されています。