知の力日記帳

6人の知の力を集めて「生きる」力を説き起こします。

第33回:第1章 個の話 第4話(6)

理屈は何でも良い、何かしたい。
知の共有をしようと6人が集まりました。

知を共有する6人の縁を広げ、6人の経験知を徹底的に共有し、6つの視点から「生きる」力を説き起こします。

どなたもお気軽に。コメントをお待ちしています。

・・・・・・
<< 第1回はじめに(1) < 前回に戻る


「生きる」力! ~不可思議な6? 空(くう)の中身~
第33回:第1章 個の話 第4話(6)
生命システムとは何か?
~ 人間の不可思議な能力「オートポイエシス」・・努力と天賦の才? ~


事例5:エジソンの言葉(第4話結び)

「天才とは、1パーセントのひらめきと99パーセントの努力のたまものである」は、実は「日本人の教育的配慮や価値観に合わせるために、歪められたエジソン像が定着してしまった」と、知人の浜田和幸(テレビでホワイト浜幸と言われ、国際政治経済学者、参議院議員)は言っています。

少なくとも、エジソンは『最初のひらめきが良くなければ、いくら努力してもダメだ。ただ努力だけという人はエネルギーを無駄にしているにすぎない』と考えていたのである」と・・・。(出典:『怪人エジソン』浜田和幸著、日本経済新聞社/2000年発行)

まさに、天才とは創造性(クリエイティブ)を持っており、価値発見が重要であることが見て取れます。創造性と言えば、誰でも少なからず持っている天賦の才。それが多くて大きかろうが、少なくて小さかろうが、それが時代にマッチしたときには、その効果は絶大です。

エジソンの数々の発明による世界への貢献は言うまでありませんが、1930年代にチェスター・カールソンが開発した電子写真技術(ゼログラフィー)の特許は、最初にIBMを含む多くの企業に持ち込まれたのですが、断られました。その後、今のゼロックスに売却され、20世紀最大の単品のヒット商品「コピー機」になったことは、知る人ぞ知る逸話です。

また、どんなに小さなことでも発想の転換は、周りを、また世の中を驚かせ変えることになります。たとえば、千葉県在住の高橋忠友氏(余暇生活開発士、内閣府「生活達人」)が考案した「シンプル凧」。凧の真ん中に丸い大きな穴を開け安定して飛ばすことができるこの夢の凧は、日本中の子ども達の心を躍らせます。

【大空に舞うシンプル凧】
*写真は「凧-手作りの魅力ブログ」より転載
ブログURL http://jblog.takoaki.com/


第4話では、5つの事例を見てきました。

  1. 京セラの「アメーバー組織」
  2. 株式会社日本総合研究所の「クラスター制度」
  3. 株式会社ミスミの「この指止まれ!毎年新たにプロジェクト組織を作る会社」
  4. 新種のメディア「EGM(Employee Generated Media)」
  5. エジソンの言葉

これらの事例からも分かるように、不可思議な生命(組織・ネットワーク)には、自ら生き残っていく多様な力を備えているようです。

アポトーシスは、細胞が生命機能の一環として、個体をよりよい状態に保つために積極的に引き起こされる、管理調節された細胞の自殺、すなわちプログラムされたたんぱく質分解酵素による細胞死を指しています。

これは、ミクロな世界における高度な驚異的な知的現象。つまり、不要なものを無駄なく積極的に除去しようとする振る舞い、そして、アポビオーシス(細胞の生理的、運命的自然死)によって救われているのです。

これは、ネクローシス(血行不良、外傷など細胞内外の環境悪化によって引き起こされる壊死)とは異なります。・・・わたしたちは、いかに巧妙に活かされているのでしょうか?

細胞の力を思い知らされると同時に、人間の60兆個の細胞の効果は計り知れません。その結果が、環境変化を生き抜く自己組織化の力なのでしょう。そう考えると、社会で生きていくことはさほど難しくないのかもしれません。

自分を信じれば!


ここまでお読みいただきありがとうございます。
最後に、事例2でご紹介した京セラの「アメーバー組織」稲森氏の言葉をご紹介して、第4話の結びとすることといたしましょう。

稲森氏は「原理原則にしたがう」の項目の中で、経営の流れや文化に沿うことの重要性について、次のように説いています。

常に、原理原則を基準として判断し、行動しなければなりません。とかく陥りがちな、常識とか慣例などを例に引いた判断行動があってはなりません。常識や経験だけでは、新しいことに遭遇した場合、どうしても解決がつかず、そのたびにうろたえることになるからです。・・・・・新しい分野を切り開き、発展していくのは、豊富な経験を持っているからではありません。常識を備えているからでもありません。人間としての本質を見すえ、原理原則に基づいた判断をしているからです

さらに、

自分一人では大した仕事はできません。上司、部下、同僚等、周囲にいる人たちと協力して進めていくのが仕事です。ただし、自分から積極的に仕事を求めて、周囲の人たちが自然と協力してくれるような状態にしていかなければなりません。これが、“渦の中心で仕事をする”ということです。下手をすると、他の人が渦の中心にいて、自分はそのまわりを回るだけ、つまり協力させられるだけに終わる場合があります。・・・・・」(『心を高める、経営を伸ばす-素晴らしい人生をおくるために-』稲盛和夫著、PHP研究所 / 1989年5月6日発行)