知の力日記帳

6人の知の力を集めて「生きる」力を説き起こします。

第39回:第1章 個の話 第5話(5)

理屈は何でも良い、何かしたい。
知の共有をしようと6人が集まりました。

知を共有する6人の縁を広げ、6人の経験知を徹底的に共有し、6つの視点から「生きる」力を説き起こします。

どなたもお気軽に。コメントをお待ちしています。

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「生きる」力! ~不可思議な6? 空(くう)の中身~
第39回:第1章 個の話 第5話(5)
自己超越


さらに、物理学や素粒子論の領域では、「空」は真空をさし、かっては、その中には何も存在していない空間を指していました。ところが、最近、ヒッグス粒子の発見とともに、「空」は、ヒッグス場であり、ヒッグス粒子が満たされているということに、180度変わってきました。

ヒッグス粒子は、17番目の素粒子で、「もの」に質量を与える、「神の粒子」といわれており、長い間、その発見が待望されていました。

ヒッグス粒子は、4種類あり、真空を満たしたものにするばかりでなく、真空に好みを与え、真空を忙しく働かせています。(浅井祥仁著「ヒッグス粒子の謎」(祥伝社新書、2012年、P.122 および 竹内 薫著「ヒッグス粒子と宇宙創成」(日本経済新聞出版社、2012年、P.93)。

真空に好みを与えるって、どういうこと???

「真空に好みを与える」ということは、真空という場にエネルギーを与えると、少しエネルギーの高いところからヒッグス粒子が発生するということであり、「真空が忙しく働いている」ということは、真空の中では、弱い相互作用を感ずる左巻きの素粒子が飛んでいると、その性質を引き取って、代わりに右巻きの性質を与えているということです。


このため、素粒子の左巻きを右巻きに代えるという、ものすごい厄介な仕事をしているのが真空なのです。

つまり、鴨長明の方丈記の中に、「行く川の流れは絶えずして、しかももとの水にあらず。よどみに浮かぶうたかたは、かつ消え、かつ結びて、ひさしくとどまりたるためしなし」という有名な文章が表現するように、真空とは、ヒッグス粒子の出現と消失やとどまりない変化の観点から、よどみに浮かぶ泡沫のようなものと表現することができます。(Adapted from 前掲、浅井著、P.130)。

次回へ続く >